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COC事業における取組み計画
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キャリア教育について
1.キャリア教育とは
「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」(平成23年中央教育審議会答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」)
「一人一人のキャリア発達を支援し、それぞれにふさわしいキャリアを形成していくために必要な知識、技能、態度をはぐぐむ教育」(平成21年中央教育審議会キャリア教育・職業教育特別部会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(審議経過報告)」)
「キャリア教育等は、その実施を通じて、青少年一人一人の個性・特性を見極め、将来の進路と日々の教育活動の意義とを結び付け、社会的自立に向けた力をはぐくんでいくものである」(平成19年内閣府青少年育成推進本部キャリア教育等推進会議「キャリア教育等推進プラン概要」)
「一人一人のキャリア発達や個としての自立を促す視点から、従来の教育のあり方を幅広く見直し、改革していくための理念」(平成16年文部科学省「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書」)
2.岩手大学のキャリア教育方針
岩手大学におけるキャリア教育は、将来設計を考える際に必要な知識と主体的に進路を選択する能力を、教養教育から専門教育までの正課内教育並びに正課外教育により身につけさせるものとする。
インターンシップについて
「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」の見直しの背景及び趣旨について(平成26年4月8日 文部科学省・厚生労働省・経済産業省) http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/sangaku2/1346606.htm |
1.インターンシップとは何か
学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと
2.インターンシップの意義
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① 大学等及び学生にとっての意義
- ●アカデミックな教育研究と社会での実地の体験を結び付けることが可能となり、大学等における教育内容・方法の改善・充実につながる。また、学生の新たな学習意欲を喚起する契機となることも期待できる。
- ●学生が自己の職業適性や将来設計について考える機会となり、主体的な職業選択や高い職業意識の育成が図られる。これにより就職後の職場への適応力や定着率の向上にもつながる。
- ●企業等の現場において、企画提案や課題解決の実務を経験したり、就業体験を積み、専門2分野における高度な知識・技術に触れながら実務能力を高めることは、課題解決・探求能力、実行力といった「社会人基礎力」や「基礎的・汎用的能力」などの社会人として必要な能力を高め、自主的に考え行動できる人材の育成にもつながる。また、企業等の現場において独創的な技術やノウハウ等がもたらすダイナミズムを目の当たりにすることにより、21世紀における新規産業の担い手となる独創性と未知の分野に挑戦する意欲を持った人材の育成にも資する。
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②企業等における意義
- ●実践的な人材の育成
- ●大学等の教育への産業界等のニーズの反映
- ●企業等に対する理解の促進、魅力発信
3.インターンシップの形態
おおむね次の三つに類型される。
- イ)正規の教育課程として位置付け、現場実習などの授業科目とする場合。
- ロ)学校行事や課外活動等大学等における活動の一環として位置付ける場合。
- ハ)企業等が実施するインターンシップのプログラムに学生が個人的に参加する場合。
4.岩手大学のインターンシップ
専門科目は、各学部3年次後期の集中科目として履修登録することになっている。
(1)授業科目:専門科目 人文社会科学部(選択) 理工学部(選択) 農学部(選択/必修) |
(2)課外活動 東北地区大学間連携インターンシップ (キャリア支援課が窓口) |
(3)学生の自由応募 (企業HP/○○ナビ等) |
PBLについて
近年、高等教育機関において、「PBL(Project Based Learning/Problem Based Learning)などチームの力によって課題を解決することにより知識に加え、コミュニケーション力や主体性、課題解決力などを育成する授業」が注目されています。※
※平成25年度先導的大学改革推進委託事業「大学における特色ある教育事例の把握等に関する調査研究(平成25年度文部科学省委託調査 株式会社リベルタス・コンサルティング)」では、特色ある教育の種類及びそれを実施している大学の事例を分析している。PBLは、教育方法の改善に関する取組15項目の一つである。
具体的には、地域の事業所・諸団体の抱える経営課題を素材に課題解決型の学習を実施することにより、地域への理解を深め、学生の企画提案力を伸ばし、地元定着の促進に繋がれば幸いです。学生のみなさんにはこの活動を通じて、プロジェクトとは何か、プロジェクトをマネジメントするとはどういうことかを理解し、チームで働く面白さを実感してほしいです。
インターンシップとPBL
近年、PBLの手法を取り入れたインターンシップが増えています。PBL(課題解決型学習)は学生の問題発見能力と問題解決能力を伸ばすための教育で、従来からものづくり系やデザイン系等の演習(専門科目)では取入れられていました。これらの演習の位置づけは、卒業課題であったり、インターンシップ科目であったり、多様です。
手法としてのPBLは正課内教育および正課外教育において増加していくものと思われます。課外活動としてのインターンシップでも就労体験型から課題型まで幅広いカリキュラムがあります。例えば夏休み等を利用して、1ケ月以上の長期にわたり地域や事業所の抱える課題に取組ませていただく可能性もあります。実践的でリアリティのあるテーマを地域の皆様より提供していただくことで、学生にはインターンシップの目的を明確化し、インターンシップをキャリア形成の中に位置づけることができます。
ESDの取り組みとCOC事業との関係
1.ESDの概念
ESD(Education for Sustainable Development 持続可能な開発のための教育)は、2002年、南アフリカで開催されたヨハネスブルグサミット(持続可能な開発に関する世界首脳会議)で、日本の市民と政府が共同提案し、同年12月の第57回国連総会で実施が決議されたもので、「社会の課題と身近な暮らしを結びつけ、新たな価値観や行動を生み出すこと…例えば持続不可能な社会の課題を知り、その原因と向き合う。それらを解決するためにできることを考え、実際に行動する。そのような経験を通じて、社会の一員としての認識や行動力が育まれていく…新たな価値観や行動を生み出すことを目指す学習や活動」(ESD-J Webページ)と説明されている。
ESDの「学び」の対象は持続可能な社会の実現に関わるすべての事柄であり、学校教育や社会教育で展開されている教育活動は、何らかの形ですべてESDと関わりを持っている。しかし、このことが、かえってESDの概念をわかりにくくする原因にもなっている。ESDは、環境教育、平和教育、開発教育、人権教育等、様々な形で展開されている教育活動が、すべて持続可能な社会の実現に向けて行われていることを学習者が自覚し(意識化し)、お互いの違いを理解しながら共通の課題を見出し、社会を持続可能な方向に転換させるために行動する地球市民の育成をめざす教育活動である。その意味では、学習者の意識化を図りながらESDに取り組む意義は大きいが、具体的な教育カリキュラムの中に盛り込む場合は一定程度の工夫が必要である。
2.本学におけるESD「学びの銀河」プロジェクト
「学びの銀河プロジェクト」は、平成18~20年度「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」(現代GP)に「持続可能な社会のための教養教育の再構築」のテーマで採択され実施されたプロジェクトである。同プロジェクトは、本学が平成12年度以降、各学部で独自の環境教育科目を開設・実施してきた特色を生かし、「社会の各分野で専門性を生かして活躍するのみでなく、環境問題をはじめとする複合的な人類的諸課題を生涯にわたって自らの課題として意識し続け、社会・地域・過程の様々な場で、身の回りの具体的問題の解決にコツコツと取り組むような『21世紀型市民』」の養成をめざしてスタートした。具体的な取り組みとして、教養教育カリキュラムのESD科目を4つの領域(環境、社会、経済、文化)と4つのタイプ(1関心の喚起、2理解の広がりと深化、3学生参加型、4問題解決の体験)のマトリックスとして構造化・可視化し、学生はこれらを意識して自主的に科目を履修していく(自らの星座を見つけ、星座を築く)方針がとられた。また、3~4年次対象の「高年次教養科目」を新設し、「学外の行政、NPO、さらに小中高校と協働して環境問題をはじめとする地域の具体的な問題について、フィールドワークを含む『問題解決の体験』(タイプ4)の科目を開設した。
3.「π字型」環境人材育成プログラムの実施
現代GPの終了後、本学は引き続き平成21~年度環境省の「環境人材育成のための大学教育プログラム開発事業」に採択され、ESD科目、環境教育科目、環境マネジメント学等の履修および地域貢献の学外実習への参加等の要件を満たした学生に対して「岩手大学環境管理実務士」の資格を与える制度を立ち上げ、本学のESDをより具体的な形で推進する仕組みがつくられた。
4.「COC事業」以前におけるESDの課題
本学における一連のESDの取り組みは、全学をあげた取り組みとして他大学からも注目され、「π字型」環境人材育成プログラムの導入によってさらに具体的な形で展開してきた。しかし、本学のESDが環境教育科目の存在を前提に始められたことから、ESD=環境教育中心の取り組みと認識される場合が多く、そのため教育の幅を広げられなかったことや、ESDで最も重要な人々との対話を軸とした課題解決型の体験プログラムを、全学生に十分な形で提供するまでには至らなかったこと等、いくつかの課題が残された。
5.東日本大震災と「知の拠点整備事業」(COC事業)
平成23年3月11日に発生した東日本大震災(福島の原発事故を含む)は、岩手、宮城、福島をはじめとする東北地方に未曾有の被害をもたらした。これによって、従来から地域貢献に力を入れてきた本学は、正面から震災の復旧、復興の役割を担うことが大学の使命となり、いっそうの努力が求められることになった。こうした新しい状況下で、本学は平成25~29年度の5年間、文部科学省の知の拠点整備事業(COC事業)に採択された。本学のCOC事業「地域と創る"いわて協創人材育成+地元定着"プロジェクト」は、「震災復興を含め、岩手の多種多様で複合的な課題を解決し、地域を再生・活性化するためには、地域の歴史・文化・特色を理解し、異分野の専門家と協働し、自らの専門性を地域の課題解決へ実践することができる人材(いわて協創人材)を育成」するために、「自治体・地域企業などとの協働により、被災地での学修を全学必修化する等、共通教育及び各学部の専門教育の中に地域に関する学修を体系的に配置し、いわて協創人材の育成及び人材の地元定着を促すことを目標」としている。ここでは、キャリア教育やPBL(Project Based Learning)が教育の重要なキーワードとなっている。
6.従来のESDの取り組みとCOC事業との関係
本学のCOC事業が掲げる「いわて協創人材」の育成は、これまでESDが掲げてきた「21世紀型市民」の育成を、岩手という地域に即した具体的なプロジェクトとして提起し達成しようとするもので、本学におけるESDを飛躍的に前進させる取り組みとして位置づけられる。とりわけ、従来のESDの取り組みの弱点であった全学生に対する体験プログラムの提供が、今回のCOC事業で被災地学修を必修化する形で実現したことは画期的である。また、これまで「学びの銀河」によるマトリックスを示しつつも、理念が先行しがちであったESDが、被災地という明確な教育フィールドを持って具体的な教育活動が展開できるようになったことも大きな前進である。COC事業では、キャリア教育やPBL(Project Based Learning)を掲げているが、これらとESDとの関係も、以下のように整理できる。
キャリア教育とは、「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」と定義され、ここでいうキャリアとは「人が生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分と役割との関係を見いだしていく連なりや積み重ねが、『キャリア』の意味するところである」と説明されている(中央教育審議会答申)。したがって、キャリア教育は単に就職先を見出すための教育ではなく、「社会の一員としての認識や行動力が育まれていく」ESDの取り組みを、より具現化したものとみなすことができる。
また、PBLは、「チームの力によって課題を解決することにより知識に加え、コミュニケーション力や主体性、課題解決力などを育成する授業」等と説明されているが、これもESDの「持続不可能な社会の課題を知り、その原因と向き合う。それらを解決するためにできることを考え、実際に行動する」人材を育成するための、具体的な教育手法の1つとして位置づけられるものである。
もちろん、COC事業には岩手県内への就職率を高めるというミッションがあり、独自の取り組みが必要にはなるが、全体としてCOC事業がめざす教育はESDの取り組みと基本部分で一致している。むしろCOC事業は、従来のESDの取り組みを継承し、「震災復興」や「地域再生」を具体的に意識した特色あるESDへと飛躍させる契機として位置づけられるものである。